Cooper Unionで開催されたフランコグリニャーニを読み解くタイポグラフィーのセミナーに行ってきた。
マンハッタンにあるエジソンも通ったかつては無料の大学、クーパーユニオンで無料のタイポグラフィーのセミナーが開催されたので、行ってきました。
1940-1970年代のイタリア人アーティスト、フランコグリニャーニの広告デザインにフォーカスを当てたセミナー。普段はクーパーでタイポグラフィーの授業を行っているコースの公開講座でした。
まずクーパーユニオンって?
2013年度まで唯一無料だったアメリカの私立大学です。
優秀な人には無料で教育を。
お金のなかったエジソンも通っていたそうです。
単科で授業を受けることもでき、環境もとても良いです。
建物の中がとってもアーティスティック
会場。広い講堂でした。
Franco Grignani: Graphic and Typographic Freedom with Greg D’Onofrio by Type@Cooper(フランコグリニャーニ:グラフィックとタイポグラフィーの自由)
フランコ・グリニャーニとは
Thinking Franco Grignani. 02 04 1908 | THINKINGFORM(英語)
アーティストであり、写真家であり、グラフィックデザイナーでもある。
オーディエンスにフランコ・グリニャーニを知っている人?と聞いたところ、6~7人しか知らない。
今回は商用で使われていたものを紹介。
日本語で検索すると、キネティックアートでたくさんヒットします。動いていないのに目の錯覚で動いているように見える線をたくさん生み出した人。
名言
Advertising… must have vigor and vitality. it must be humanistic.
広告・・やる気とバイタリティが必要。人間的であるべき。
I seek what does not exist what is beyond the real.
存在しないものを見つける。現実を超える。
I do not design, I find.
デザインはしない、見つけるだけ。
The future is in us because our design is in the future.
未来は私たちにある。なぜなら私たちのデザインが未来だからだ。
未来派をグラフィックデザインに導入していったもの。(写真を撮ったら色が大分違う・・)
イタリアのライフスタイルマガジン。アメリカのそれとはかなり違う。
フランコも典型的なものではなくて何か新しいものを作るという概念から生まれたもの。要素は実は少ないけれど、大きなインパクトを与えるもの。
Bd’Iはトレードマークと鉈。
またシンプルな要素で構成されている。ダイナミックなコンポジション。
似たもの。タイプフェイスに注目。ヘルベチカ(のようなもの?)を使っている。
縦横を変更した。人々をもっと引き付けるためと言われている。
プロセスカラー、トーンプリンティングテクニック。どうしたらそ時の最新技術を使って、ユニークに表現ができるかというのを考えてできている。
ニューヨークで生まれたものとは違う。ハーフトーンが使われていたり。フォトグラフィックリーに作られたもの。
抽象的なタイポグラフィーだ。急進的なスイスデザインに寄せたものにチャレンジしている。
左はイタリアの国旗カラー。新しい意味を表現している。右はオーバーラップしてさらに抽象的。タイプをストレッチングしている。
ダダからの影響も受けている。
オフィスでプロジェクターを使って顔に映し出したもの。おそらく予算はあまりなかったと思われる。
これは何を表現しているのか・・わからない。オーディエンスからこれは明らかに女性の顔だ!と意見が出て、「え!!?本当だ!」ってスピーカーの人が言っていたw
インターナショナルなオーディエンスを狙って、何カ国語にも翻訳されている。
レインコートのポスター。繰り返しが可愛い。
バイブレーションの音を表現している。ミシンの広告。タイプフェイスも興味深い。実験的な作為品と言える。
ピサの斜塔。日本の雑誌アイディアのために作られたもの。
↓この雑誌。
IDEA No.047 | IDEA Magazine - international graphic art and typography
最も有名なロゴ。ウールマーク。これをモチーフにグラフィックデザインをしている。
たくさんのロゴ。繰り返し、パターン、コピー・・いろいろな技法を使っている。EEというのはベネズエラの会社のロゴ。インターナショナルに活躍。
一番有名な彼のワークは、ウォルマートのロゴ。
読めるところ(表面)、読めないところ(背景)がある。タイプを伸ばしたり柔軟に扱っている。
彼のプロジェクトを全体でみると、典型的なものが一つもない。典型的というものをを拒否しているよう。
写真とイメージ、タイポグラフィをごちゃ混ぜにしている。
彼の作るコピーライトは直球なワードではなくて、詩的な感じがある。
この辺りの作品からディストーションが見られるようになる。彼の作品表現方法は変わってくる。
ウォルマートのシンボルに似てる。
スパイラルは一般的なモチーフだった。なので彼もスパイラルを使って表現を行っている。
aをぐるっとさせているもの。
タイプアーティストとして、写真は重要なツール。ここで彼はそれを利用している。ただ、タイプはぐにゃぐにゃ。
モンドリアンっぽい。
会場からの質問。
彼はアーティストからどうして商業的活動をするようになったのか?
コマーシャリズムや印刷、そういう未来で試したいという思いが強かった。ただ、絵を描くこともやめてはいない。14000以上の作品を残している。
以上。
かつての(少なくとも著名な)デザイナーは思想や強い意志を持ってデザインをしていたというのをひしひしと感じるセミナーでした。実は現在のデザイナーもその思想を持つ必要があるのではないでしょうか。少なくとも世間で重要なデザイナーになるためには。ただ、その道は険しそうですが・・。
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