NY、クーパー・ヒューイット国立デザイン美術館が教えてくれる「デザインの作りかた」
マンハッタン内にあるグラフィックデザインに特化した美術館(正式には博物館)に行きました。
好きな作品を保存できて後で見返すことができたり、タッチペンで遊べたりと画期的でした。もちろん展示の内容もそして建物も歴史があり、とっても興味深かったです。
特別展示で「ピクサーの作りかた」も同時に見ることができ、そちらもおもしろかったので合わせて紹介します。
クーパーヒューイット・スミソニアン・デザインミュージアム
どんなミュージアム?
wikiによると、
クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館 (英語:Cooper-Hewitt, National Design Museum) はアメリカ合衆国ニューヨーク市アッパー・マンハッタンにある、デザインとデザイン史に関する展示をおこなっている唯一の国立博物館である。
だそうです。
2011年〜2014年まで改修工事を行なっており、改修後に名前が、
クーパーヒューイット・スミソニアン・デザインミュージアム (Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum)になりました。
ホームページはこちら。博物館とは思えない斬新な色づかい!
建物自体も歴史ある邸宅だったようで素敵でした。
外観。(ぶれぶれ)
中の雰囲気。(これまたぶれぶれ)
画期的ポイント
館内を回るときはこのタッチペンが大活躍。
ペンのロゴ側の先には+のマークが付いており、それを下記のような+マークに合わせるとその作品が保存されて、後でHPから参照できるのです。
※私の保存分を後ほど公開
そして館内にいくつかこのようなタッチパネルがあり、タッチペン部分を使って作品の詳細を見たり、自分で作品を作ってみたりと遊ぶことができます。
作品の詳細。
私の作った、椅子の前のIH。(本当は、Hiにしたかったのですが、なぜか逆から描いてしまいましたw)
このタッチペンを作るために何度も試作品を作りました、の展示。
こちらのブースではタッチペンで壁紙を選ぶと、この部屋の壁紙がそれに変わるというおもしろい仕掛けが。
グラフィックデザインの作りかた
多くのデザインは線、形、パターン、テクスチャそして色の5パターンからなる。とのこと。
線について
線は考えのデバイスだ。コンセプトを明確化したり、絵の性格を定義したりする。
形(フォーム)について
形(フォーム)にはいろいろある。パーツを作って組み立てる場合もあれば、粘土のようにして作る時も。素材も木だったりガラスだったり。革新的な靴のデザインから巨大ビルをつくることも全てフォームに関することだ。
パターンについては、なんと撮り忘れました・・。
テクスチャについて
テクスチャとは触感のことだ。ただそれは目で見て感じることも含まれる。
滑らかだったり荒かったり。それが何で作られてるのか分かるものだ。
ただグラフィックデザインではそうとも限らない。
テクスチャは繰り返しのパターンや線の回転のコンビネーションだったり。カッティングや穴を開けたりして作られることも。さらにオーバーレイやツイスト、光と影をうまく使ったり・・。触れるという感覚から遠いものさえある。
色について
色のコンビネーションの創造。青でも深い青から明るい青まで様々。
ポスターの作りかた
世界中のデザイナーがどうやってポスターを作っているかの展示。
グラフィックデザイナーは、フォームと色とイメージと言語を使って、単純でありかつ複雑な内容や、平坦であるようで深いもの、一瞬の出来事のようでまだ先の見えない物語を表現する。
ざっくりこのように展示されています。
ポスターはどうやって作られるか
ポスターはいくつもの印刷技法から作られているという話。現代はやっぱりデジタル。
左から
「色への完璧主義」(上)
これを制作したデザイナーは523枚のポスターの写真をデジタルで扱い、色から色へのスムーズな移り変わりを実現した。ポスターはカラーコンビネーション、彩度、合成を利用して制作されている。
「ダイアグラム」(下)
これを制作したデザイナーは220枚のポスターからまず2つのドミナントカラーを選んだ。カラースウォッチを最もよく使われる色(白や黒)を左上から、最も使われない色(メタリックゴールド)を右下にして配置。ちなみにプリンターの出力の問題でメタリックはあまり使われていない。
「女性/男性」
これを制作したデザイナーは189枚の広告ポスターから、男性モデルと女性モデルの肌の色を抽出し、分析をした。全体ではまず女性の方が男性よりもよく使われている。男性モデルでは顔や腕や手が使われていることが多く、女性モデルでは胸やお腹、腕が使われている。また、女性モデルはすべらかで理想的な肌で表現されていることが多く、男性モデルは、ソバカスや無精髭、ボサボサの髪などで表現されていることが多い。
左から
「POSTER N° 524」
これを制作したデザイナーたちは、3か月でアムステルダムにある524枚のポスターの分析を行った。それを元にイメージを分類、アレンジ、そして新しい形で表現。彼らはポスターデザインにおけるパターンと考え方を研究したのだ。(注目点、人がポスターを見るときの目の動き、グラフィックフォームの構成、色)その結果は視覚化できるデータで制作。それがこの、Poster N° 524という書籍にまとめられている。
「グラフィックフォーム」
これらの分析でデザイナーは、線、円、フレームやアスタリスクなどのグラフィックフォーム、それぞれを分離した。そして元の構成を保ちながら再構築。グラフィックフォームは順序や構成、伝えたい情報の重要性を表現することができるし、装飾的な一面も持っていると言える。
右のみ
「人がポスターを読むときの目のルート」
65枚のポスターを分析し、人がポスターを見るときに目を動かすには、2つの大きな注目点があることが分かった。太い線が出発点で徐々に細くなってい供養に表現している。
右のみ
「構成とフォーム」
存在するポスターから二つのイメージを作り、それを徐々に変化させたもの。
それぞれ説明。
左から
「オーバーラップ」前に何かを置いて、深みを表現する。
「カットアンドペースト」ちょっとした何かを加えて、新しいものを作る。
「表面で遊ぶ」焼き込み、ぼかし、裂けやとかしで物語を伝える。
「単純化」
左から
「拡大」挑発的な言葉やイメージを使い、伝えたいメッセージをより際立たせる。
「二つの意味」二つのことを一度で表現して面白さと驚きを与える。
「物語を伝える」
見た人に、何が起こったのだろう?次に何が起こるのだろう?と考えさせる。
「字を絵として見せる」
文字を形やテクスチャーやフォームとして使う。もちろん読める状態で。
「目線の注目を集める」
色やフォームを使って中心に置かれたものに注目が行くようにする。
「視線を圧倒させる」
緻密なパターンや曲がった線や激しい色を用いて、目線を外させない。
印刷のプロセスについての説明。
特別展示:ピクサーの作りかた
ピクサー:デザインの物語
素晴らしいアニメーションを作るには3つの重要な要素がある。
人々が椅子の前の方に座ってのめり込みたくなるような物語。そして
忘れられない物語を彩るキャラクターの姿。さらにその物語とキャラたちがまるで本当の世界にいるような気持ちにさせること。
以上のことを本当に素晴らしく出来たら、観客は夢中になる。
シンプレキシティ(造語)
最初は単純な形でもどんどん装飾をして行って複雑にしていくピクサーのやり方。
ウォーリーのデザイン
展示ブースの真ん中には絵を描けるスペースが。
自分でキャラクターを作ってみようのコーナー。
子供も大人もたくさん絵を描いていました。
ピクサーの展示の写真が少ないのですが、ほとんどの展示をあのタッチペンで保存したからなのです。
展示には何があったかざっくりいうと、キャラクターのデザイン案、3Dアニメのキャラの髪の毛のはやし方や動きの作り方(メリダと恐ろしの森)、1986年にピクザーが初めて作ったLuxo Jr.と言う2分半くらいの3Dアニメの展示がありました。
Luxo Jr.のエンドロールを見ると、総勢20人くらいでしょうか。あの時代にこの人数でこのクオリティを作るとは・・驚きっぱなしです。
下記で見ることができます。
実はトイストーリーが1995年の作品(今から20年以上前!)というのにも驚かされますよね。
私の保存した作品
ピクサー作品多めです。
おまけ
階段の踊り場(意外と面白い場所なんです)。
3階の展示(建築やモノ系なので完全に省きました・・)
ショップの様子(グラフィックデザイン関連の本がいっぱい!)
邸宅なので、奥には庭も。
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